情報漏洩を防ぐ社員教育とは?よくある原因とリスク対策
2026年07月31日

情報漏洩の大半は社員の“うっかりミス”によるものです。普段の業務に潜む情報漏洩の火種を消さない限り、リスクは膨らみ続けます。
そこで今回は社員による情報漏洩の原因を解説するとともに、社員教育を通じてリスクに備える方法についてまとめました。
社員起因の情報漏洩が急増!データと事例が表す危機的状況
社員による情報漏洩が最多記録を更新
連日のように情報漏洩のニュースが流れますが、多くの企業は他社の事例を“自分事”として捉えていないようです。
しかしながら、社員起因の情報漏洩トラブルはかつてない勢いで増えています。
実際に、2025年に個人情報保護委員会によって公表された情報漏洩事案は、過去最多記録の約1万9,000件を更新しています。
この危機的状況にもかかわらず、今もなお約6割の中小企業は組織として情報セキュリティ対策に対して、投資を行っていません(独立行政法人情報処理推進機構による「2021年度 中小企業における情報セキュリティ対策に関する実態調査」より)。
情報漏洩は決して他人事ではなく、どの企業にとっても最優先で取り組むべきリスク対策です。
サイバー攻撃より多い“社員起因の個人情報漏洩トラブル”
多くの企業がウイルス対策ソフトの導入といった“外部”への対策に注力しています。しかし今、急務となっているのは組織“内部”へのアプローチです。
インシデントの内訳をチェックしてみると、メールの誤送信など社員起因の事例が大多数を占め、実はサイバー攻撃を上回ることが分かります。
つまり、肝心な情報を扱う“社員の対策”に力を入れない限り、致命的な事故は防げないのです。
事例からわかる情報漏洩が起きる背景
情報漏洩トラブルがこれほどまでに増えた背景に注目すると、「働き方の多様化」と「中途退職者の急増」による影響が大きいようです。
リモートワーク中にカフェのフリーWi-Fiを利用し、業務アカウントの情報を盗まれるケースも多発しています。働き方の選択肢が増えた裏で、新たにセキュリティの死角が生じています。
また、今は人材が流動する時代で、定年や契約満了を待たずに中途退職するケースが急激に増えています。人材の入れ替わりを管理できていない現場では、顧客データの持ち出しといった事例も頻発しています。
このような従来型の情報漏洩に加えて、近年は生成AIの業務利用による新たなリスクも生まれています。
社員が顧客情報や社内資料、契約書、ソースコードなどを生成AIに入力したり、生成した会話の共有リンクを誤って公開したりすると、企業が意図しない形で情報が外部に広がるおそれがあります。
実際に2026年7月には、Claudeで公開共有された会話や成果物の一部がGoogleやBingの検索結果に表示されていたことが判明し、Xを中心に大きな話題となりました。Claudeの非公開チャットが無条件に流出したのではなく、ユーザーが作成した公開共有リンクが検索エンジンにインデックスされたことが原因です。
公開されたページの中には、業務資料や企業名、個人情報、コードなど、一般公開には適さない情報を含むケースも報じられています。共有リンクを「URLを知っている人だけが閲覧できるもの」と誤認すると、社内情報を世界中から検索できる状態にしてしまう可能性があります。
働き方や雇用の多様化だけでなく、生成AIをはじめとする新しいツールの普及に伴うリスクを把握し、対策を講じることも、現代の企業が取り組むべき重要な課題の1つです。
社員の情報漏洩がもたらす3つのリスク
経済的リスク:企業が損害賠償責任を負う事例も増加
事故後、真っ先に懸念されるのは経済的なリスクです。派遣社員が個人情報を流出させたベネッセの事例では、損害賠償責任が問われ1人あたり3,300円の損害賠償を支払う判決が下されました。
ベネッセは金券などを配布するために、総額200億円もの原資を用意したとされています。他にも1人あたり3万5,000円の支払いが命じられ、損害賠償金の最高金額となったTBCの事例もあります。
損害賠償金以外にも原因究明のための調査費用など、インシデントに対応するために莫大な金額を注ぎ込むことになります。
信用面のリスク:信用失墜から倒産するケースも
情報を漏洩させてしまった企業は、社会的な信用を失います。ブランドイメージも崩れるために、その後の回復が難しくなります。
事実、情報漏洩事故を起こした老舗企業が倒産した事例もありましたが、水面下にはさらに多くの事例が潜んでいるはずです。
とくに予算に余裕のない中小企業にとっては、事業継続が困難になる深刻な要因になります。
法的リスク:社員の処分に潜む二次トラブルの懸念
法的責任も問われます。損害賠償など民事責任だけではなく、行政処分や、最悪の場合は刑事罰を科される可能性もあります。
加えて、問題を起こした社員を処分する際は、慎重な対応が求められます。なぜなら懲戒処分の方法を誤ると「不当処分」として企業側が訴えられるリスクがあるからです。
単に「解雇して終わり」とはいかないため、二次トラブルの懸念を払拭するための法的な注意が必要です。
情報漏洩を引き起こす社員側の原因TOP3
①過失:社員の“うっかりミス”で情報が洩れるケース
社員による情報漏洩トラブルの大半が過失によるものです。メールの誤送信・書類の紛失・誤廃棄といった“うっかりミス”による情報漏洩は、不正アクセスの件数よりも多くなっています。
紙やUSBによって情報が洩れる事例が多いことから、ペーパーレス化が遅れている企業側の落ち度も問われるところです。
②故意:個人的な利益を求め意図的に持ち出すケース
転職市場が活発化している現在、個人的な利益を求め故意に情報を漏洩させるケースも増えています。
顧客情報などの営業機密を持ち出し、転職先での実績作りに悪用するのも典型的なパターンです。
退職後に不正アクセスを行う事例も目立ちます。退職した社員のアカウントを削除せずにいると、社外からも簡単に情報を持ち出せるため、不正の温床になりかねません。
いずれにしても故意による情報漏洩は、企業の管理体制の不備と隣り合わせです。
③知識不足:そもそも“知らなかった”ケース
そもそも“知らなかった”ゆえに情報漏洩事故を起こしてしまう事例が相次いでいます。
セキュリティインシデントは「知らなかった」では済まされません。社内教育を行い社員の知識不足を補うのは、企業の存続に関わる最優先事項です。
とくに生成AIでは、「通常の会話」と「公開共有」の違いを理解していないことが情報漏洩につながります。
たとえば、Claudeの共有機能で公開リンクを作成した場合、そのページは第三者が閲覧できる公開ページになります。2026年7月に問題となった事例では、一部の共有ページに検索エンジンへの登録を防ぐ設定が不足していたため、GoogleやBingから検索できる状態になっていました。
社員が悪意なく「同僚に見せるため」「クライアントに確認してもらうため」に共有リンクを作っただけでも、そこに顧客名、会社名、業務マニュアル、財務情報などが含まれていれば、重大な情報漏洩につながりかねません。
社内教育では、生成AIに入力してはいけない情報だけでなく、共有リンクを作成した時点で一般公開される可能性があることも、具体的に伝える必要があります。
情報漏洩を防ぐ社員教育とは?今すぐできるリスク対策
社員の情報漏洩は社内の教育不足が根本原因
社員が情報漏洩事故を起こす根本原因の1つは、社内の教育不足です。
人的ミスが起きる仕組みや退職者による不正アクセスの手口だけでなく、生成AIに入力してはいけない情報や、公開共有リンクの危険性まで正しく伝えられていれば、多くのインシデントは予防できます。
生成AIについては、単に「使用禁止」と通知するだけでは不十分です。社員が会社へ申告せずに個人アカウントを使用する、いわゆる「シャドーAI」を招く可能性があります。
会社として利用可能な生成AIを明確にしたうえで、次のようなルールを具体的に定めることが重要です。
●入力を禁止する情報
●公開共有を禁止する会話や文書
●会社が指定するアカウントやプラン
●ファイルをアップロードする際の確認手順
●共有リンクを作成する際の承認方法
●誤って公開した場合の報告先
社員教育では、「顧客メールを要約する」「提案資料を添削する」「ソースコードの不具合を調べる」といった実際の業務場面を例に挙げ、安全な使い方と禁止事項を判断できるようにする必要があります。
生成AIの公開共有による情報漏洩にも注意
2026年7月、Claudeで公開共有された会話や成果物の一部が、GoogleやBingの検索結果に表示されていたことが明らかになりました。
対象はすべての会話ではなく、ユーザーが公開リンクを作成したページです。しかし、共有リンクを限定公開と誤認し、業務資料や個人情報、コードなどを含めていたケースも報じられています。
Claudeを業務で使用している場合は、「Settings」→「Privacy」→「Shared chats」から公開中のリンクを確認し、不要なものはすぐに共有を停止しましょう。
なお、ChatGPTを業務で使用している場合は、画面左下のアカウントアイコンから「設定」を開き、「データコントロール」を選択します。そのうえで、「すべての人のためにモデルを改善する」のトグルをオフにし、新しい会話がモデル改善に使用されないよう設定しましょう。
ただし、いずれの設定を行っても、社内情報や個人情報、顧客情報を入力しないことが原則です。

情報漏洩リスクは「社員教育の実施」で対策できる
情報漏洩リスク対策の核となるのが、社員教育としての研修です。
口頭注意や掲示板での周知だけで済ませず、本格的な研修を実施し、社員1人1人への教育を徹底することが大事です。
“うっかりミス”であれ故意によるデータ持ち出しであれ、情報漏洩が発覚した時の厳しい処分内容、法的リスクを研修で理解していれば、強力な抑止力になります。
1度きりの研修はNG!継続的な教育体制をどう構築するか
リスク対策として研修を実施する際に重要なのは、学びを一度で終わらせずに、継続させる仕組みをつくることです。
有名講師を招いての研修であっても、単発での実施では効果を長続きさせることができません。常に最新の事例を把握しておくためにも、定期的に学習の機会を提供することが大切です。
とはいえ、集団研修を何度も開催するのは、コストや時間の面で大きな負担となります。
そこでおすすめなのが、リーズナブルな価格帯で継続的な教育体制を構築できるオンライン研修システムです。
リスク対策を低コストで実現【サイバックスUniv.の研修システム】
リスクモンスター株式会社の<サイバックスUniv.>なら、コストをかけないリスク対策をスピーディに実現できます。
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1人600円で導入できるオンライン研修システム
1人あたり600円の月額料金で、最新のオンライン研修システムを導入できます。
受講状況を一元管理できるポータルシステムによって、効率的・効果的な研修運用をすぐにスタートできます。
ネット環境があればパソコン・スマホ・タブレットから受講できるため、場所に縛られることなく時間を有効に活用できます。
情報漏洩リスクに特化したシリーズも展開
常時約5,000コースにおよぶ広範なeラーニングの中でも、企業の命取りとなるテーマに関してはシリーズ化して体系的に学べるようになっています。
もちろん情報漏洩リスクに特化したシリーズも展開しているため、セキュリティの基礎知識から最新のインシデント対策まで体系的に学習できます。
自社業務にマッチしたリスク研修を提供
研修は階層別・職種別に展開され、自然に“自分事”として学べる仕組みになっていますが、オリジナルの研修をeラーニング化してLMS上に搭載することも可能です(契約内容により有償オプション)。
必要に応じて自社業務にマッチしたリスク研修を追加し、万全のリスク対策を施しましょう。
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コラム執筆者
「サイバックスUniv.」会費制サービスは、eラーニングと公開研修あわせて約5000コースが定額で受け放題となるサービスです。1998年4月より「企業の未来は人材が創る、伸びる人材が企業を創る」をコンセプトに、ITを取り入れた新しい教育スタイルを提供しております。幅広い研修ラインアップをご用意しており、業種や職種を問わず、現在3,000社以上のお客様にご利用いただいております。
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