【危険】マイクロマネジメントはパワハラ?クラッシャー上司の事例と改善対策
2023年06月14日

マイクロマネジメントという言葉は、まだあまり浸透していない印象です。ただ、マイクロマネジメントの意味を知ったら「自分の上司かも・・・」と、ぞっとする方もいらっしゃるでしょう。簡単にいえば、言動のすべてを管理したがる面倒くさい上司のことです。
今回はクラッシャー上司の被害に遭わないためにも、マイクロマネジメントの意味や生じる原因、部下に及ぼす悪影響についてくわしく解説します。改善方法もお伝えするので、参考になれば幸いです。
マイクロマネジメントの意味を解説
マイクロマネジメント上司のせいで、今まさに辞表を出そうと考えている社員もいらっしゃるかもしれません。クラッシャー上司の実態に迫ります。
まずはマクロマネジメントとマイクロマネジメントの違いを確認
マクロマネジメントは、大局的な視点から組織の方向性や戦略を決定し、自立を重んじる管理スタイルです。これに対してマイクロマネジメントは、細かい作業プロセスや日々の作業への密な介入と管理を特徴とします。
| 指示の内容 | 部下の主体性 | 計画実行スピード | |
|---|---|---|---|
| マイクロマネジメント | 具体的 | 低 | 遅 |
| マクロマネジメント | 大局的 | 高 | 速 |
マイクロマネジメントかも!管理したがる上司の特徴
マイクロマネジメントのおそろしいところは、はっきり線引きするのがむずかしいところです。
部下の仕事の邪魔をしてメンタルを壊すクラッシャー上司かどうか、自分では簡単に判断できません。
たとえば細すぎる管理がNGとはいっても、職場において「ホウレンソウ(報告・連絡・相談)」は基本中の基本です。ホウレンソウを一切しない部下に問題があります。
ただ、どこまでが常識的なホウレンソウで、どこまでが病的なホウレンソウなのか、見分けるのは至難の業です。
最初は、仕事熱心な熱い上司に思えることもあるでしょう。新人だと「これが当たり前なのかも」と異常に気づかないことも。
マイクロマネジメントのパワハラ事例(カテゴリ別)
セクハラやモラハラに比べ、マイクロマネジメントはパワハラとしての認知度が低いものの、その被害は深刻です。
日々の業務に過剰に介入し、部下の行動や判断を細かく制限するクラッシャー上司は、職場環境を大きく悪化させます。中には事例を知って初めて自分が被害者だと気づく人も多く、リモートワークの普及で監視や干渉が強まるケースも増加しています。
ここでは、そんな職場で起こり得る具体的なハラスメント事例をカテゴリ別に紹介します。
① 過度な監視・コントロール
● メール送信時は必ず上司宛にCCを義務化し、内容にまで口出しされる
● 職場でつねにジロジロ見られる・目を離してもらえない
● 電話中、隣の席や後ろに立たれて通話を盗み聞きされる
● リモートワーク中、常にWebカメラのオンを強要される
● PC操作ログやチャットの既読を逐一チェックし、少しの遅れでも指摘される
② 過剰な報告・進捗管理
● 必要以上に頻繁な進捗報告を求められる
● 勤務中に電話やメールで何度も連絡が来る(直接デスクまで呼び出されることも)
● 小さなタスクごとに報告を義務化され、仕事の手が止まる
● 報告が1分遅れただけでも怒鳴られる・長時間説教される
③ プライベートへの過干渉
● 休憩時間や休日の予定まで細かく質問される
● 休日にも連絡が来て対応を強要される
● 昼休憩中にも付きまとい、自由な休憩を取らせてもらえない
● 私物(服装・カバン・持ち物)まで必要以上にチェックされる
④ 業務遂行の強制・押しつけ
● 上司のやり方を押しつけられ、自己流や改善案は認められない
● 成果を出しても「やり方が違う」と嫌味を言われる
● 新しい提案や効率化をしても「前例がない」と却下される
● 指示どおりにやらなかった場合、成果よりプロセスを責められる
⑤ 精神的圧力・過度な叱責
● 報告や呼び出しに応じないと激高される
● 長時間にわたる説教・人格否定の発言
● 会議の場で公開説教される(見せしめ的な対応)
● 「お前の代わりはいくらでもいる」などの脅し文句を日常的に言われる
⑥ リモートワーク特有の事例
● 常時カメラオンを義務化され、プライバシーを侵害される
● Slack/チャットの返信が数分遅れると催促される
● 勤務中にこまめに「今何をしているか」報告を要求される
● リモートでも1時間ごとの進捗報告を義務づけられる
パワハラの意外な3つの原因
クラッシャー上司はどうしてこのような異常な行動を繰り返すのでしょう。実は、嫌がらせのために過剰管理をおこなうケースはレアケースです。大半の場合、本人に悪意はなく行動の異常さを自覚していません。
■原因その1:不安な気持ちがつよい
不安な気持ちがつよすぎて、口を出さずにいられないパターンもよくあります。クラッシャー上司は、自分が細かいところまで部下に教えてあげないと失敗する、と決めつけています。
部下による失敗で責任を問われるのを回避したい気持ちもあるかもしれません。本人にとっては親切にアドバイスをしているという認識なので、自分が加害者という意識は0です。
■原因その2:自己顕示欲がつよい
自己顕示欲がつよく、プライドが高い上司もマイクロマネジメントをおこないがちです。自分のやり方が正解と信じ込み、自分のやり方や考え方を押しつけます。
親切心から、服装の趣味、休日の過ごし方など、プライベートな部分まで口を出しています。自分の成功パターンやセンスを教えてあげている・・・と上から目線で考えている確率が高いでしょう。
また「自分の指示で行動している」と周囲にあえて見せつけるために、しょっちゅう呼び出すケースもあります。
■原因その3:クラッシャー上司のマイクロマネジメントイズムを継承
クラッシャー上司の上司もまたクラッシャー上司・・・という残念すぎるパターンもあります。
上司もまた、上の人間から部下の行動を細かく報告するよういわれ、指示に従っているだけかもしれません。
中小企業だと社長自身がマイクロマネジメントをおこなっている最悪のパターンも考えられます。
マイクロマネジメントの弊害!部下に及ぼす3つの悪影響
すでにマイクロマネジメントの被害を受けているなら、早急に過干渉地獄を抜け出す策を練らなければいけません。マイクロマネジメントが部下に及ぼす悪影響ははかりしれませんが、3つに絞ってお話します。
主体性がダウン
マイクロマネジメントは会社全体の問題で、こんな職場では有能な人材が育ちません。つねに上司から指示が出ている状態なので、自分で考え判断できなくなります。
最初は自分の意見を伝える元気があっても、過剰な管理によって心身が疲弊して指示に従うのが精一杯になります。まさに考える余裕もなく、次々に指示を繰り出し時間とエネルギーを奪うのがクラッシャー上司です。主体性が失われてしまいます。
モチベーションがダウン
指示と否定の嵐の中では、モチベーションも下がる一方です。やる気を失わない人間はいません。
いつまで経っても監視の目が光り、信頼されたり任せられたりすることがない現状に絶望し、多くの部下が心身を壊されます。
離職率がアップ
クラッシャー上司の特徴は、部下の離職率が異常に高いことです。せっかく入った会社なのに、二度と看板を見るのもイヤ・・・というほど追い詰められます。
部下が次々に辞める経験によってますます疑心暗鬼になった上司は、さらに監視を厳しくする悪循環に陥るでしょう。
マイクロマネジメントの改善方法
社長自身がマイクロマネジメントをおこなっているケースは、解決策が転職一択になります。ただ、改善の余地がある場合もあります。
上司よりはやい“ホウレンソウ”で先手を打つ対策
不安な気持ちがつよい上司の場合、指示が出る前にホウレンソウ(報告・連絡・相談)を済ませて安心させましょう。ルーティーンワークに組み込み、みずから行動することで自尊心を保ちやすくなります。「動くまえに必ず報告します、相談なしに動くことは絶対にしません」と宣言するのも効き目がありそうです。
上司を無視する対処法はNG?
上司の指示を無視するのは荒々しい対処法ですが、効果があった実例もあるようです。パワハラ上司は指示を素直にきく相手、大きな声で文句をいわない相手を巧妙に嗅ぎ分ける能力に長けています。
その指示は間違っていますとはっきり伝えたり、指示を無視したりするうちに、別の人間をターゲットにする確率は高いでしょう。
ただし後々トラブルになったときのために、これまでのパワハラ被害の証拠は集めておいた方がよいかもしれません。
上司のためのマネジメント研修が効果的
マイクロマネジメントの被害をもっとも建設的に食い止めるためには、会社が上司のためのマネジメント研修を実施することです。
マイクロマネジメントは職場の生産性を下げ、会社に不利益をもたらします。マネジメント研修ではパワハラのいっかんとして、どんな被害を部下と会社に及ぼすのか、客観的に教えてくれます。
研修を受け、はじめて自分が加害者だと自覚するケースもあるでしょう。適切な部下の管理方法を学んだ上司が指導すれば、人材育成もうまくいきます。
上司がコア業務のために時間とエネルギーを注げば、会社にも大きな利益をもたらすでしょう。いまは便利なオンライン研修もあるので、低コストで手軽に実施しやすくなっています。
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コラム執筆者
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