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【マタハラ研修の内容と目的】マタニティハラスメントを正しく理解していますか? 

2022年02月18日


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1 はじめに

平成29年1月1日の男女雇用機会均等法と育児介護休業法の改正法施行により、
使用者にはマタニティハラスメント(以下「マタハラ」といいます。)の防止措置が義務付けられました。

 

これによって使用者は、妊娠・出産・育児等を理由にした不利益な取り扱いが禁止されていたことに加え、従業員間のマタハラ、つまり、上司・部下、同僚間における妊娠・出産に対する嫌がらせや、育児休業等の制度利用を阻害するような言動等についても対応しなければならないようになりました。

 

令和2年6月1日には「事業主が職場における妊娠、出産等に関する言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置等についての指針(平成28年厚生労働省告示第312号)」が定められたほか、令和4年4月1日には育児・介護休業法が改正され、産後パパ育休制度(出生時育児休業制度)の創設や雇用環境整備、個別周知・意向確認の措置の義務化されるなど、マタハラ撲滅に向けた動きは強まっています。

 

しかしながら、他のハラスメント(セクシャルハラスメントやパワーハラスメント)に比べ、マタハラは、該当する事例は多い一方で裁判例の蓄積が少なく、十分な議論がなされないまま今日に至っていることもあり、その内容を正しく理解・認識できていないケースも散見されます。

 

今回は、改めてマタハラの定義やその原因を確認することで、その理解を深める端緒にしていただければと思います。

2 マタハラとは

(1) 定義:マタハラはどこから?

マタハラには広義のマタハラと狭義のマタハラがあります。

 

狭義のマタハラは、男女雇用機会均等法第11条の2及び育児・介護休業法第25条において定められている、事業主として防止措置を講じなければならない職場における妊娠・出産・育児休業等に関するハラスメントで、職場において行われる上司・同僚からの言動(妊娠・出産したこと、育児休業等の利用に関する言動)により、妊娠・出産した女性労働者や育児休業等を申出・取得した男女労働者等の就業環境が害されることを言います。

 

広義のマタハラには、これに、男女雇用機会均等法第9条第3項で定める女性労働者の妊娠・出産等厚生労働省令で定める事由を理由とする解雇その他不利益取扱いを含みます。企業の使用者は、このいずれについても防止・撲滅を図っていかなければなりません。

 

(2)マタハラが生じる原因

先述した通り、使用者は、マタハラ防止の効果を高めるため、セクハラやパワハラなどと同様にその発生の原因や背景について労働者の理解を深めなければなりません。

 

多くの場合、マタハラ発生の原因や背景には、妊娠、出産等に関する否定的な言動(不妊治療に対する否定的な言動(不妊治療を理由とした有給休暇の取得を認めない等)も含まれます。)が頻繁に行われるなど、制度等の利用又は制度等の利用の請求等をしにくい職場風土や、制度等の利用ができることの職場における周知が不十分であることなどもあると考えられます。

 

我が国においては、妊娠・出産を契機に女性労働者が休業するのは周囲に迷惑がかかり「申し訳ない」こと、また、男性が育児に積極的に関与するのは例外的なことという固定観念が根強く、それがこのような職場風土や環境を醸成してしまう要因の1つであると言えます。

 

したがって、使用者としては、まずはこのような固定観念を解消すべく、労働者に対しマタハラに関する知識を啓蒙するのみならず、妊娠・出産等にかかる制度利用を積極的に促すようなトップメッセージを発信し、あるいは自らも制度を利用するなどして、マタハラ防止の効果を高めていく対策が必要になるでしょう。

【サイバックスUniv.運営事務局より】

マタハラ研修のねらい
マタハラを防止するためには、職場全体がマタハラに関する基本的な知識を身につけ、日ごろから意識した行動をとれるようになることが重要です。

 

どんな行為がマタハラにあたるのか?なぜ職場でマタハラが起こってしまうのか?マタハラを起こしてしまうと事業者や労働者にどんな影響があるのか?これらを理解・意識しておくためにも、職場内で定期的な研修を行い従業員一人ひとりへ啓蒙する必要があります。

 

またマタハラを受けたとき・見かけたときの相談先を周知することも重要です。社内の相談窓口や都道府県労働局などの自治体、インターネットでの情報提供サイトなどを事前に共有することが望まれます。

 

職場全体がこれらの知識を正しく身につけ、法律や制度、妊娠による体調変化への理解を深めるためにも、マタハラ研修を実施しましょう。職場からマタハラを無くし誰もが働きやすい環境を作ることで、従業員が安心して働き続けることができ、ひいては企業の競争力を保つことに繋がります。

コラムの内容を学べる公開研修情報

『育児・介護休業法基礎講座 ~裁判例を踏まえたマタハラ対応等法改正対応~』
日程:2022年3月22日(火) 15:00 ~ 17:00
詳細はこちら

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コラム執筆者

中川 洋子
榎本・藤本総合法律事務 弁護士
東京大学法科大学院修了、2015年弁護士登録(第一東京弁護士会)。
企業法務(労務、会社法、コーポレートガバナンス等)に関する紛争予防、紛争解決、一般民事事件、刑事事件などを取り扱う。
経営法曹会議会員。第一東京弁護士会労働法制委員会委員。

著書・論文

  • 『多様化する労働契約における人事評価の法律実務』(共著、第一東京弁護士会労働法制委員会編、労働開発研究会、2019)
  • 『現在の制度検証から労働組合との交渉まで 制度変更時のプロセスに即した実務課題と紛争予防の視点』(中央経済社「ビジネス法務」2020.12)

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