改正派遣法に関する
派遣会社の悩み・質問 3

2020年06月24日

緊急事態宣言以降、当社への相談は「雇用調整助成金」、「休業手当の支払い」がかなりの件数をしめております。今回コラムでは、まず厚生労働省からでている雇用調整助成金関連の資料についてお伝えします。後段では前回と同様に「改正派遣法に関する派遣会社の悩み・質問」を記載します。

1.はじめての雇用調整助成金

これから「雇用調整助成金」について理解したい、という方にはまずここを見てみましょう。2ページで完結しております。

https://www.mhlw.go.jp/content/000632992.pdf

2.雇用調整助成金ガイドブック(簡易版)

「雇用調整助成金」の支給申請書の記載例もあるので申請をする場合はこちらを参考に申請書を作成します。こちらは22ページあります。

https://www.mhlw.go.jp/content/000636721.pdf

※従業員が概ね20人以下の会社や個人事業主の方は「小規模事業主」に該当し申請がとても簡単になっております。小規模事業主に該当した場合は、ガイドブック(簡易版)よりも「雇用調整助成金支給申請マニュアル(休業)」を読んでいただければ申請できると思います。マニュアルはたったの6ページです。

https://www.mhlw.go.jp/content/000636722.pdf

3.雇用調整助成金の様式ダウンロード(新型コロナウイルス感染症対策特例措置用)

いよいよ支給申請書を作成します。下記URLに支給申請書がありますのでダウンロードして作成し始めます。添付書類が少しだけ必要です。詳しくは下記URLをご参考にしてみてください。

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyouchouseijoseikin_20200410_forms.html

支給申請書を作る際、いくつかハードルが生じます。その際にはぜひ社会保険労務士にご相談ください。我々も対応できるように精一杯勉強してまいります。

今回で最終回となりますが、前回に引き続き「改正派遣法について相談がある派遣会社の悩み・質問」となります。

Q8

固定残業代を基本給に加えて一般賃金と同等以上を確保する協定対象労働者の賃金として考えてよいか?
基本給20万、固定残業代5万(30時間分)合計25万の月給制の無期雇用派遣社員がいるが、労使協定締結の際、固定残業代も含めて一般賃金と同等以上を確保する協定対象派遣労働者の賃金の対象としてよいか。

A8

残業手当は時間外労働に対する割増賃金の手当であり、当該時間外労働の時間数によって変動しうることから、原則としては、上記賃金の対象とすることは不適切ということになるでしょう。 実際この点について、局長通達第1の2(2)においても、「協定対象派遣労働者の賃金 法第30条の4第1項第2号の協定対象派遣労働者の賃金の範囲についても、一般賃金と同様、労働基準法の賃金に含まれるかどうかにより判断し、基本給のみならず諸手当も含まれるが、時間外、休日及び深夜の労働に係る手当等は含まれないこと。」とあります。 ただし、事例のように「固定残業代5万(30時間分)」となっている場合、すなわち、仮に残業を20時間しかしなかった場合でも特段精算されることなく30時間分の5万が支払われることになっているような場合は、実質的な残業手当は20時間分の金額であり、10時間分は基本給の一部と考えることもできます。このようなケースでは、この10時間分についても、労使間で十分に協議し合意を得ることで一般賃金と同等以上を確保する協定対象労働者の賃金とすることも可能になると考えます。

Q9

派遣先と会社が業務を受託している現場を交互に就業しているような場合の退職金の扱いは?
原則は正社員として採用して、配置の際に派遣で就業させたり、会社が業務を受託している現場で就業させたりと様々である。このようなケースの場合、退職金の対象となる勤続年数は、業務委託等で就業している期間を除く、あくまで派遣で就業した期間の通算と考えてよいか?

A9

労使協定の対象となる派遣労働者の退職金については、一般基本給・賞与等に6%を乗じた額を退職金とする場合と、局長通達での別添4で示された退職金制度を基準に制度を設定する場合と、中小企業退職金共済制度等に加入し、退職給付等の費用の割合を6%とする場合のいずれかを選択することになっています。
ただし、上記に基づく退職金はあくまで労使協定の対象派遣労働者に適用されるものですので、派遣以外の形態で就業する場合は対象外となり、原則通り、会社の就業規則等の諸規程に則って判断されることになります。従って、派遣就業した期間以外で就業するようなケースであれば、当該派遣社員として就業していない期間については、退職金制度における勤続年数から除き通算しない旨の規程を設けることで、当該退職金制度は派遣就業した期間だけを勤務年数に通算する制度設計を行うことは可能です。
なお、仮にこれまで会社で退職金制度を設けており、それを前記のような制度に変更する場合には、いわゆる不利益変更の問題が生じ得ますので、念のため既存制度との整合性を確認する必要があると思います。

Q10

派遣労働者向けの就業規則を作成・変更する際に意見を聴く過半数代表者の選出は?
派遣法第30条の4第1項の規定に基づく労使協定を締結する労働者代表は、派遣労働者でなくてもいいが、派遣労働者向けの就業規則の作成・変更に際し、意見を聴く場合の労働者代表は派遣社員でないといけないと聞いたが、派遣労働者の中から選出しなければならないのか?

A10

派遣労働者に関する就業規則を作成・変更するときも、通常と同様に労働者代表の意見書は必要になりますが、これも、労使協定同様、派遣労働者に関するものであっても、あくまで労働者代表の意見書となるため、派遣労働者を労働者代表として選出することが要件となっているわけではありません。
ただし、改正派遣法30条の6には、以下の規定が設けられました。
「派遣元事業主は、派遣労働者に係る事項について就業規則を作成し、または変更しようとするときは、あらかじめ、当該事業所において雇用する派遣労働者の過半数を代表すると認められるものの意見を聴くように努めなければならない。」
この規定は、派遣社員向けの就業規則を作成するときや変更するときには派遣労働者の過半数を代表する者を選任してできるだけ意見を聴くように努力することを求めていますので、今後はそのような機会を設けるよう努める必要があるでしょう。

コラム執筆者

波多野 淳

波多野 淳 所属企業 社会保険労務士法人エンチカ

略歴 2003~2013 大手人材派遣会社(東証一部上場)にて、人事管理、人事制度構築、行政対応、労働組合対応、M&A後の子会社整備、リストラクチャリング、新規事業開発、社会保険手続き・給与計算及び訴訟対応など人事労務・法務の業務に携わる
2014 社会保険労務士 波多野事務所 設立
2017 社会保険労務士法人エンチカ 設立 代表社員就任

資格 2005 社会保険労務士試験 合格
2008 第二種衛生管理者試験 合格
2015 紛争解決手続代理業務試験 合格 特定社会保険労務士 付記
2018 GCDF-Japan キャリアカウンセラー試験 合格
2019 国家資格キャリアコンサルタント試験 合格

審査実績 2014~2015 公益財団法人板橋区産業振興公社 働きがいのある会社賞 審査員
2014〜 厚生労働省関連 優良認定事業 審査員
2016〜 板橋区 いたばしgood balance会社賞 審査員

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