無期雇用派遣社員の「就業規則」作成のポイント
~「就業規則」はトラブル回避の鍵!~

 4月1日に改正労働契約法による「無期雇用転換の申込」が本格的に発生していて以来、約半年。有期の派遣契約の更新を繰り返し「通算5年」を迎えた派遣社員から「無期雇用転換」の申込があり派遣元で無期雇用され派遣就業をする「無期雇用派遣社員」が続々と誕生している会社もあるでしょう。「無期雇用派遣社員」の労務管理においては、「就業規則」を作成しておくのがベストなのですが、「時間がなくて、その都度対応している」というケースも多いようです。「就業規則」を作成する義務はありませんが、実は、「就業規則」は、トラブル回避のための重要な鍵となります。
 今回は、その理由と、無期雇用派遣社員の就業規則作成のいくつかのポイントをQ&A形式で解説します。

Q1 なぜ、「就業規則」を作っておくといいのですか?

 前述したように、「就業規則」を作る義務はなく、労働契約法でも「別段の定めがない限り、事前の有期労働契約の労働条件をそのまま無期雇用転換後も引き継ぐ」とされています。しかし、無期雇用するということは「派遣労働者の雇用を定年まで引き継ぐ」とうことです。派遣就業の場合、無期雇用転換時の派遣先で定年まで同一の労働条件で働くのは現実的ではなく、派遣先の変更によって労働条件が煩雑に変わるケースが大半です。労働条件は、派遣会社と派遣労働者との合意で何度でも変更できますが、合意が得られなければ変更ができずトラブルに発展する恐れがあるのです。そのため、「無期転換後は一定の範囲内で労働条件が変更されることがある」とあらかじめ明確にしておくことがトラブル防止につながります。これが、「別段の定め」であり、就業規則なのです。

Q2 派遣先が変わると「勤務地」も変わることになりますよね。
この変更を就業規則にどう記せばいいですか?

 労働条件の変更の範囲の中でも、「就労場所である派遣先の変更の範囲」については就業規則に明示する形で無期転換時に合意しておくことが望ましいです。無期雇用の場合、派遣先の変更は、「配置転換」ということになります。合意しておく変更の範囲としては、①地理的な範囲、②従事する業務の範囲が挙げられます。
①については、派遣労働者の居住地から通勤できる範囲(一般的には片道2時間が通勤の限度)を指定するのが妥当です。
②については、いくつかの具体的な職種を羅列する方法もありますが、個人ごとの状況変化がありますので、キャリアコンサルティングにおいて本人の意向を確認し決定することを前提に「雇入時または無期転換時に会社に合意した職種」といった記載で条件に幅をもたしておくこともできます。

Q3 これまでは勤務態度に問題がある派遣労働者は契約更新しないという形で対応してきましたが、無期雇用の場合は、どう定めておけばいいですか?

 無期雇用の場合は、「解雇」ということになります。
 解雇は、労働者側の債務不履行(病気、著しい能力不足)による「普通解雇」、秩序・風紀の混乱を事由とする「懲戒解雇」、使用者の側の需要減退による「整理解雇」があります。そのことを踏まえ、正社員の就業規則を参考にして、「解雇の事由」を就業規則に明示しておく必要があります。
 「懲戒解雇」については、懲戒の種類として、「訓戒」「減給」といった段階を定め、最終手段として「懲戒解雇」という形で明示しておくことになります。
 「普通解雇」については、「解雇事由」として「勤務成績が不良で就業に適さないと認められた場合」と明記することになりますが、定年まで無期で雇用しているわけですから、教育訓練によって能力向上を目指し、改善されなければ容易な業務に配置転換(派遣先の変更)をするという働きかけをする必要があります。