第2回『「情報伝達」から「対話(ダイアローグ)」』

前回は、「チーム」の定義を考えてみました。
今回は、その「チーム」を機能させ、アウトプットの質とスピードを上げるための「チームビルディング」の手法をお伝えします。

「コミュニケーション」という概念とは?

その手法とは「対話(ダイアローグ)」です。
対話とは何か、を説明する前に「コミュニケーション」という概念について少し考えてみたいと思います。
現場では「コミュニケーションが足りない」とか、「コミュニケーションを活性化しよう」みたいな言い回しをよく聞きます。
また、「コミュニケーションスキル」なんて言う言葉も日常的に使っているかと思います。

私自身、過去にコーチングやカウンセリングを学んだ際に、コミュニケーションとは何かを理解し、そのスキルを身につけていたつもりでしたが、この「対話(ダイアローグ)」と言う概念に出会い、コミュニケーションの意味を本当に理解できていなかったと気づきました。
と、言うのもこのコミュニケーション(という行為)を「導管」の様に捉えていたからです。

「対話」と「議論」を使い分ける

この「導管」とは何でしょうか?
Aさんが伝えた言葉が、Bさんに一言一句間違いなく“伝わり”、その証拠として、Bさんが復唱できたとします。
確かに、Aさんの言葉が損なわれたり、改変されたりすること無く届いたのだとしたら、あたかも100CCの水が減ったり濁ったりすること無くA地点からB地点に辿り着く「導管」として機能したと言えるでしょう。

しかし、仮にそうだったとして、そこに込めた意味や想い、もしくは熱量のようなものは「伝わる」のでしょうか?
チームビルディングへの第一歩は、コミュニケーションや情報伝達を「導管」とみなすこと(=導管メタファー)を捨て去り、「創造的理解に至る継続的な相互作用のプロセス」と再定義すること、です。
そしてこの「創造的理解に至る継続的な相互作用のプロセス」こそが「対話」なのです。

「対話」は、所謂「議論(ディスカッション)」とは違います。
議論は所謂正解や共通解を導くためのプロセスであり、合理性や妥当性が求められます。

対して「対話」は、自身の経験や、体験に基づく価値観や感情など、「異なって当然のもの」や「正解や間違いのないもの」をその場に出すことから産まれる営みであり、合理性や妥当性とは対極ともいえます。
この「対話」と「議論」はどちらが優位というものではなく、フェーズや目的に応じて使い分けられるものです。

「対話(ダイアローグ)」こそが「チームビルディング」へのプロセス

私はチームで何かのプロジェクトに取り組むときは、定例のミーティングを2部制にして、情報伝達や「議論(ディスカッション)」の為の時間と、「対話(ダイアローグ)」に分けています。

しかし、この対話という手法は、教育機関でもまた社会に出てからも体験する機会は(私も含め)殆ど無かったという方も多いと思いますので、ここで対話の「ルール」について幾つか重要なものをご紹介しておきたいと思います。
1. 全員が話し、全員が聴く
2. 「評価」を保留して耳を傾ける
3. 意見と人を切り離して考える
4. 異なる意見に「好奇心」を持つ

一人ひとりが他のメンバーを深く理解し、メンバー一人ひとりを存在レベルで肯定し、“当たり前”を疑い、違いを受け入れ、その違いから自らを内省し、深い気づきや新しい学びを得ようとするその態度から産まれる「対話」こそ、一回目のコラムでもお伝えした、チームの本質であり価値の源泉である「異質性」が、メンバー間の相互作用を高め「チームビルディング」していくプロセスに他ならないのです。

レゴ(R)シリアスプレイ(R)では、まさにこの「対話」の為のルールがメソッドに埋め込まれています。
上記に列挙したことの「実践」のイメージがつかない方は是非一度「レゴ(R)シリアスプレイ(R)を活用したチームビルディング講座」にご参加してみてください。実践のヒントが見つけられるかもしれません。

次回(最終回)のコラムでは「学習する組織」についてお伝えする予定です。

<参考文献>
学習する組織 ピーター・M・センゲ
ダイアローグ 対話する組織 中原 淳+長岡 健
チーム・ダーウィン 熊平 美香
チーム・ビルディング 堀 公俊 加藤 彰 加留部貴行 他

特定非営利活動法人THOUSAND-PORT 代表理事
鈴木 篤司(すずきあつし)

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