改正派遣法に関する
派遣会社の悩み・質問 2

2020年05月27日

最近は雇用調整助成金の相談を多く頂いております。 雇用調整助成金は事業活動の縮小を余儀なくされた事業主が、休業等一時的な雇用調整を実施した場合において、休業手当等の費用の一部を助成するものであり、雇用を継続していくにはとても有益な助成金になっております。 また、今回のこの新型コロナウイルス感染症の影響による場合、特例として、手続きの簡素化、要件の緩和、給付額の増加など事業主にとってありがたい変更があります。ただ、その一方で特例の内容が拡大していくため、現在の最新の情報はどれなのか、変更点は何なのか、などを追っていくのが困難になっているのも事実です。 4月10日に雇用調整助成金ガイドブック(簡易版)がでましたが、その後、13日、15日、24日と約2週間で3回も改訂がされております。それだけ行政機関の大変さも伝わってきます。 我々のような専門家でも更新される情報を日々追っていくことは大変なので、企業の皆様におかれましてはとても苦労されているかと思います。専門家として、皆様のお役に立てるように日々勉強してまいります。

今回のテーマも前回に続き「改正派遣法について相談がある派遣会社の悩み・質問」です。

Q5 派遣元社員と派遣社員の交通費の支給方法が異なる場合は?

通勤手当について、社員には実費で定期代を支給している場合、派遣労働者には時給に72円上乗せして支給するという差を設けた場合に、問題はあるか?

A5

通勤手当に関しては、派遣法において、時間給に72円上乗せするか、実費で支給するかのいずれかを選択できることとされているため、それ自体は問題ないといえます。
ただ、派遣労働者も「パートタイム・有期雇用労働法」の適用を受けることになり、派遣元社員には実費支給で、派遣労働者は72円を時間給に上乗せする制度と差をつけた場合、異なる賃金制度を採用した理由について、合理的説明を準備しておく必要があります。
例えば、実費の通勤費を支払うより、時給に72円を上乗せして支給するほうが有利なので、派遣労働者には時給に上乗せをして支払っている等が考えられます。
なお、仮に派遣労働者に対する通勤手当の支給額が派遣元社員のそれよりも低額な場合、一切通勤手当を支払っていないわけではないので、ただちに違法となるものではありませんが、待遇に関し質問を受けた場合、派遣元には説明責任があり、全く説明ができないと、紛争へ発展する等のリスクがあります。

Q6 派遣先均等・均衡方式採用時、通勤手当等派遣先社員の待遇が悪い場合は?

派遣先均等・均衡を採用した場合、派遣先は社員に対し通勤手当を支払っていないといった情報提供を受けた場合、派遣社員に対する通勤手当は支払わなくてもよいか?

A6

この場合は支払わなくてもよいと考えられます。
なお、派遣先均等・均衡方式の課題は、賃金水準の高い派遣先へ派遣する場合と低い派遣先へ派遣する場合とでは待遇に大きな差が生じ、派遣社員の待遇が不安定となるという点です。その対応策として労使協定方式が選択できる仕組みになりましたが、かといって派遣先均等・均衡方式が否定されているわけではありません。
つまり、A社に派遣してそのA社では通勤費が出ないので、通勤費は支給しないとしても派遣法上は問題といえるものの、当該派遣スタッフがB社に移り、そこも派遣先均等・均衡方式が採用されており、さらに通勤費が支給されていれば、当該派遣スタッフについて改めて通勤手当を支給する必要がありますし、労使協定方式になれば当然支給が必要になるかと思います。
また、派遣先均等・均衡方式を採用した場合も、派遣元社員との均衡を図る必要性があり、待遇を決定する際、派遣元社員との比較をして待遇の良いほうをできる限り選択するような配慮が求められます。

Q7 日雇の派遣が多い派遣会社の労働者の母集団とは?

日雇の派遣労働者が多くいる場合、労使協定締結における労働者代表を選任するにあたり、労働者の母集団をどのように考えたらよいか?

A7

事業場ごとに労働者の代表を選出する際、「労働者の過半数を代表する者」の母集団の範囲が課題になるか思いますが、この点について、厚生労働省の通達(昭46.1.18基収6206号)では36協定の労働者の範囲として、「法第9条の定義によるべきが妥当と考えられる」とされています。労働基準法第9条で「労働者」とは、事業に使用され賃金を支払われる全ての労働者を指しています。これは、管理監督者、長期欠勤・出張・休職期間中の者を含めて母集団の範囲とされます。
上記を前提に考えると、派遣会社における派遣労働者ですが、日々或いは短期の雇用契約を締結して就業する派遣労働者を全て母集団とすべきということになります。
実際に労働者代表を選任している期間に雇用されていない者もいることになりますが、前述の通達を勘案して一定の会社の基準を設け、その基準内の労働者を母集団と構築することが必要かと思います。具体的な方法を知りたい場合には、当社までご連絡ください。

コラム執筆者

波多野 淳

波多野 淳 所属企業 社会保険労務士法人エンチカ

略歴 2003~2013 大手人材派遣会社(東証一部上場)にて、人事管理、人事制度構築、行政対応、労働組合対応、M&A後の子会社整備、リストラクチャリング、新規事業開発、社会保険手続き・給与計算及び訴訟対応など人事労務・法務の業務に携わる
2014 社会保険労務士 波多野事務所 設立
2017 社会保険労務士法人エンチカ 設立 代表社員就任

資格 2005 社会保険労務士試験 合格
2008 第二種衛生管理者試験 合格
2015 紛争解決手続代理業務試験 合格 特定社会保険労務士 付記
2018 GCDF-Japan キャリアカウンセラー試験 合格
2019 国家資格キャリアコンサルタント試験 合格

審査実績 2014~2015 公益財団法人板橋区産業振興公社 働きがいのある会社賞 審査員
2014〜 厚生労働省関連 優良認定事業 審査員
2016〜 板橋区 いたばしgood balance会社賞 審査員

おすすめのコラム

eラーニング・公開研修(一部)を30日間無料で
お試しいただけます

無料体験版で受講可能なeラーニングの一例

  • 新社会人のためのビジネスマナー(新入社員/内定者向け)
  • 個人情報保護 教育プログラム(全社共通)
  • Microsoft Excel 2013 応用編(IT/PCスキル)

※公開研修は、毎月2講座の受講が無料でできます。(事前のお申し込みが必要です)

コラム一覧に戻る