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(後編)どうなる同一労働同一賃金!?
「局長通達」と「労使協定方式Q&A」では派遣現場は完全カバーできない?
~人材派遣の現場対応を調査しました!~
2019年11月13日
2020年4月の同一労働同一賃金制度のスタートまで残すところ6ケ月。厚生労働省職業安定局は7月8日に「局長通達」、8月19日には労使協定方式Q&を発表しました。事業者や労務の専門家からはすべてのケースをカバーしていないので現状の内容では派遣先や派遣スタッフに十分説明できないなどの声が多数寄せられています。当コラム編集部では早速、10社の派遣会社に来春に向けてどのような準備をしているのか調査を始めました。
前編では「局長通達」から「労使協定方式のQ&A」までの概略について振り返りました。後編では派遣会社10社にご協力いただき法改正の準備が9月時点でどこまで進んでいるのかをまとめました。今後の事業運営に参考にして頂ければ幸いです。
派遣会社10社の9月時点の取り組みについて項目ごとにまとめてみました。
派遣元労使協定方式か派遣先均衡・均等方式か
「労使協定方式」を中心に派遣先対応、派遣スタッフ対応する考えが7社でした。
派遣料金について
すべての会社が改正に伴うコスト増を派遣料金の値上げで補填する考えです。
派遣料金の値上げ幅は7~10%で各社イメージしているようです。
また、ある派遣会社では正社員の就業規則をスリム化して、派遣社員のコスト増に補填する方針をイメージしている派遣会社もいました。
通勤費について
実費支給か現行の時給に72円上乗せする方式において、5社の派遣会社は実費支給する傾向にあります。
・配置しているスタッフが派遣先から近いか遠いか
・その実費の合計
以上2点の判断基準などで決めているようです。
退職金について
「同一労働同一賃金ガイドライン」では、退職金について明確に示されていません。
今回ご協力いただいた派遣業者では「退職金制度の導入(中退共制度)」、または前払いして「従前の時給に6パーセント上乗せする方式」のいずれかが選択されており、傾向としては後者の「従前の時給に6パーセント上乗せする方式」を選択している方がやや多い傾向にあります。
また、ある派遣会社の試算では、「従前の時給に6パーセント上乗せする方式」を選択することにより、派遣元社員より派遣スタッフの待遇がよくなるケースも出てきました。
賃金テーブルについて
各社が賃金テーブルを年内に完成させるようです。
例えば一般事務の賃金テーブルを職務内容(入力、表計算、マクロを組むなどの操作内容)と職能で構成し「必ずしも年数が経ったから昇給するものではない」ことを社内全員で共有し始めています。この賃金テーブルにより給与が下がってしまうようなスタッフに関しては調整手当を補填するなど今回の改正で不利益にならないようにしたいといった声も一部聞かれました。
労使協定方式に於いて代表者の選出方法について
労使協定方式に於いて代表者のベストな選出方法が見つからないという声が多数あったなか、不信任投票でうまくいくのか不安、派遣先OBだと安心できるのだが…といった声も聞かれました。
まとめ
大手と中小の企業規模の違いや都市圏と地方のエリアの違いにより派遣会社各社の見解が異なるケースもあります。もちろんそれは派遣先との取引関係で解釈が大きく変わることもあるでしょう。今回の改正は過去最大クラス、そのビジネスモデルが大きく変わろうとしています。準備期間は残り5ヵ月しかありません。
・各社の取り組みなどを参考にセミナーに参加してまめに情報収集する
・新たに上乗せされる手当各種を試算し来期のコストがどれぐらい増えるのかを理解する
・対応方針を取引先(派遣先)と十分共有する
・対応方針を派遣先スタッフと十分共有しキャリア形成を支援する(キャリアプランの策定)
など準備を万全にしてこの大転換期を乗り越えましょう。
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コラム執筆者
月刊人材ビジネス
株式会社オーピーエヌ
「労働者派遣法」が日本で初めて施工された1986年より、業界唯一の専門誌として人材ビジネス業界の動向や有識者インタビューなど、リアルな業界情報を発信し、業界発展と人材派遣会社の成長に貢献している。
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