震災による派遣契約の
中途解約や休業補償

今年も続いた日本の災害。6月の大阪北部の地震に始まり、7月の豪雨(岡山・広島・愛媛・兵庫・岐阜)8月の酷暑、9月には北海道東部地震など。温暖化が原因なのか地殻活動が活発になったのか。被災された方々には心よりお見舞い申し上げます。被災されたエリアの人材会社のお話を聞くと災害対策をしていた会社としていない会社では被災後の業績復旧に大きく影響が出ることが分かりました。 今回は被災後の派遣スタッフから問合わせが多かった質問をご紹介します。

ある派遣スタッフからの相談内容

Q 派遣スタッフから震災で派遣先の業務がなくなったことを理由に解除した派遣契約について、責任を取ってほしいと要請されました。どうしたらよいでしょうか。

A 派遣スタッフは派遣元(派遣会社)に、休業補償や新たな派遣先を確保するよう請求できます。

派遣元(派遣会社)と派遣先企業との間に交わされる派遣契約と、派遣元と派遣労働者との間に交わされる労働契約は別の契約であり、派遣契約が解除されたからといって、労働契約が当然終了になるわけではありません。
派遣契約が中途解除された場合、派遣元は派遣先と連携して新たな就職機会を確保することなどが厚生労働省の派遣元指針にも規定されています。したがって、派遣労働者は、派遣元に新たな派遣先を確保するよう請求できます。
仮に新たな派遣先が見つからなくても、もともと派遣先に労働者を派遣することを業とする派遣元が、派遣先を見つけられないことを「やむを得ない事由」とすることは原則として認められませんので、使用者の賃金支払義務がなくなるわけではありません。
派遣会社は災害時のスタッフの補償について事前準備が必要です。

派遣中の労働者の休業手当について

参考文献(厚生労働省ホームページ一部抜粋)

労働基準法第26条の「使用者の責に帰すべき事由」に当たるかどうかの判断は、派遣元の使用者についてなされます。派遣先の事業場が、天災事変等の不可抗力によって操業できないため、派遣されている労働者を当該派遣先の事業場で就業させることができない場合であっても、それが「使用者の責に帰すべき事由」に該当しないとは必ずしもいえず、派遣元の使用者について、当該労働者を他の事業場に派遣する可能性等を含めて、「使用者の責に帰すべき事由」に該当するかどうかが判断されます。また、今回の震災に伴う経済上の理由により事業活動が縮小した場合は、休業についての手当等が支払われ、雇用保険の適用事業所であるなど他の要件を満たせば、雇用調整助成金及び中小企業緊急雇用安定助成金が利用できます。

派遣契約の中途解除と派遣労働者の
解雇について

参考文献(厚生労働省ホームページ一部抜粋)

「派遣元と派遣先との間の労働者派遣契約」と「派遣元と派遣労働者との間の労働契約」とは別であることに留意する必要があります。派遣元と派遣労働者との間の労働契約は、契約期間の定めのない労働契約である場合(無期労働契約)と契約期間の定めのある労働契約である場合(有期労働契約)があります。有期労働契約の解雇については、労働契約法第17条第1項において、「使用者は、期間の定めのある労働契約について、やむを得ない事由がある場合でなければ、その契約期間が満了するまでの間において、労働者を解雇することができない。」と規定されていることを踏まえ、適切に対応されることが望まれます。派遣元の使用者は、派遣先での業務ができなくなり、派遣先との間の労働者派遣契約が中途解除された場合でも、そのことが直ちに労働契約法第17条第1項の「やむを得ない事由」に該当するものではないことに注意してください。また、派遣元の使用者は、「派遣元事業主が講ずべき措置に関する指針」に基づき、派遣先と連携して新たな就業機会の確保を行うことや、新たな就業機会の確保ができない場合でも、休業等を行い、派遣労働者の雇用の維持を図ることに努めていただくようお願いいたします。